貫き通された家族の美学

巾木がイヤ。フラットで色気の無い家がイヤ。デザインへの飽くなき欲求は色々な場面で踏み躙られ家族に不可能の文字が過ぎります。ある種の作り手が決めた「常識」という「非常識」に正面からぶつかって自分達の家を創りたかった御家族の姿勢に共感して家創りがスタートしたのでした。

まずはその良好なロケーションを生かした建築。派手好きではあってもそれを外に主張するのは一寸違う・・・こんな微妙な心理に抗う事なくストイックでシンプルな外観と囲い庭の内部のウォームで素材感溢れる内側の外観。と言う二面性をデザインしています。

離れをイメージした和室。それが美しく見える為に配置したガレージと寝室が創りだす開口。通り過ぎただけでは当該住宅の本懐に触れる事は不可能ですが、ひとたび中庭に身を置けば・・・とにかく自分達だけが分かれば良いのです。

オーダーで創ったキッチン。ダイニングテーブル。照明器具、手洗いボール、郵便受け。それらすべてが御家族の美学に貫かれています。極寒の二月、御家族で塗り上げたリビングから和室を貫く特殊塗装の化粧壁。この壁が様々な要素を重ねた複雑な状態のインテリア達を見事に一体化させました。

まるでファッションのコーディネートのように実に的確に自分達の好みを妥協せず中和しながら素敵に魅せる。御家族のセンスが光る多様性の住宅になりました。