House of the emigration

House of the emigration

2023-11-30
クライアントご家族は長崎県の五島→愛知県名古屋市経由で秋田市に移住していらした方々です。南から北へ不安もあろうかと思いましたがご家族は実に前向きに新天地の暮らしに期待をして、移住の証としての家創りの相談をいただきました。

時はロックダウン中のコロナ禍。来県もままならない状況、土地勘も全くない状態で用地探しは私たちが行い、候補地を動画撮影してメールで共有。引き続き設計打合せも設計契約もすべてオンラインにて行うという味わい深い経験をしました。設計内容についてはオンラインですべてを伝えるのはなかなか難しく、長い時間を要しました。
ご家族にお会いしたのは実際に引っ越してきて着工直前の金額調整時というのは驚きと同時になかなか忘れられない経験です。
秋田市/40坪以下/木製外壁/ペレットストーブ/ZEH

House of the emigration

2023-11-30
クライアントは土地勘もないため、決定以外の権限を私たちに委任され、職場の近所というふわっとした条件のみを与えられたため、むしろ移住してきたご家族にとって秋田らしい季節感や自然、景観等を感じられる場所。なおかつ機能的に建物が成立させられる場所として高清水の山を背中にしたこの土地を推薦、選定に至りました。

ご家族は大学教授であるご主人と在宅ワーカーである奥様、保育園に通うお嬢さんの三人暮らし。期待いっぱいで来秋いただいたご家族に「秋田を好きになってもらうための家」をコンセプトとしました。

設計与条件としてはロケーションを生かした生活と在宅ワーク用の快適なワークスペースが欲しいというシンプルな要望。敷地北側の法面から続く高清水の山との連携。周囲の建物を縫って見えるであろう八橋運動公園と雄物川の花火。建物の開口方向やフォーカルポイントから建物をゾーニングしていきました。

建物は太陽光パネルなしのZEHオリエンテッド仕様。日射のシミュレーションを行い冬日の最大限入射と夏日の最小限入射を実現。結果雨天に左右されにくい豊かなデッキスペースをLDK手前に設けることができました。北側斜面は建物北面に直接風が当たらない効果があり、秋田建築の弱点である北面外壁等へのダメージを最小限に抑えています。法面は公用地であり、そこに立つ樹木も階段の上部で綺麗に目線に入るように窓を配置。寝室からは山の木々だけが見える高窓を設け山の気配を感じられるように、単なる寒気のシールドとしての北側外壁にはならないように配慮しています。

南面外壁は秋田杉の板材を鎧張りし、秋田暮らしの深まりとともにエイジングされていく史的なギミックとして提案しています。決して押しつけがましくない表現はすんなり受け入れていただけました。

移住と同時に秋田暮らしをPRするSNS活動を行っているご家族。ありふれた日常を拾い上げ、魅力的に表現されています。それは県外から移住を考えている人たちはもちろん私たちにとっても秋田再発見の気付きを与えてくれています。

先月からご自宅も紹介し秋田暮らしの良さを自宅での暮らしを通じたものも併せて発信しています。

そこにはロジカルに構成された家創りのアイデアを披露、称賛しつつもオーナーとしての家創りのイズムについて語られており多少くすぐったかったりはするのですが、時間をかけて細部に宿らせたアイデアを完全に理解した上で発信していただけているのには喜びと感謝の気持ちでいっぱいです。

これは建築業界が出来る人口減少への有効な手段だと思いました。さて今後ご家族はどのように秋田について語っていくのでしょうか?楽しみにしています。
  • 種別

    新築

  • 竣工日

    2022-03-31

  • 所在地

    秋田県秋田市

  • 工法

    木造軸組構造(在来工法)

  • 間取り

    3LDK

  • 敷地面積

    197.78㎡(59.83坪)

  • 延床面積

    100.19㎡(30.31坪)

  • 家族構成

    大人2名 / 子ども1名

  • その他

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